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技術書典6で頒布した同人誌、ネットワークスクランブルの続編です。 関連記事: ・https://woshidan.hatenablog.com/entry/2019/05/25/192707 ・https://woshidan.hatenablog.com/entry/2019/07/31/141455 RFC793をベースにウィンドウの範囲を決める変数やソケットAPIに少しだけ踏み込んだ、実装できそうで実装できない、少し実装できそうなTCP という感じの本です。
もう少し詳しい内容紹介
上の方で書いた通りTCP編のコンセプトは「RFC793をベースにウィンドウの範囲を決める変数やソケットAPIに少しだけ踏み込んだ、実装できそうで実装できない、少し実装できそうなTCP」で、少しだけ詳しいTCPの本です。 詳細を説明する場合、話が長引いて今何をやっているのか見失いがちですが((もしかして自分だけだったらすみません...))、各章で話が成り立つ程度に後の章の内容を簡略化し、章ごとのメインテーマに集中する、といった構成で対応を試みています。 たとえば、3章でウィンドウサイズの詳細を伏せてウィンドウ制御でデータをやり取りする際の流れについて話を進め、4章でウィンドウサイズの決定方法について詳しく説明するといった具合です。 一つの章を読み進める度に前の章で少しモヤモヤしていた部分が晴れて少しだけTCPの世界が広がる感覚を味わっていただけたらなぁ、と思って構成してましたが、どこまでできたかはわかりません。 また、HTTP/2のストリームのステータス遷移はTCPのコネクションのステータス遷移に近いといわれてピンとこなかった方がいらっしゃいましたら、TCPのコネクションのステータス遷移についてたっぷりの図で説明した6章がおすすめとなっております。
どんな人にオススメなのか
想定している対象読者はこういう方々です。 - RailsやLaravelの入門を済ませて次はWebサーバの仕組みやネットワークについて勉強してみたいな、と思っている方 - Real World HTTPやプロフェッショナルSSL/TLSといった厚い本を読んだけれどいまいち掴みきれなかった感覚のある方 - インターネットを支える基礎について勉強してみたいけれどまとまった時間がなかなか取れない方 - 通勤電車や晩酌のお供にTCPの気持ちになりたい方
どうしてこういう人たちにオススメなのか
本書はオタクの趣味の同人誌ということもあって、以下のような方法で構成されており、肩の力を抜いてお楽しみいただけるようになっています。 - 基本1トピック1ページ前後の短くやわらかめな文章 - 「光の進む速度には限界があるからサーバはユーザと物理的に近い方がいいよね」(HTTP編1章)のように前提知識があまりいらないところから始まる各章の構成 - 「これから読むトピックの主題はここですよ」と一文で伝え、読む前にはガヤやガイドの、読んだ後にはリマインダの役割を果たす印象的な見出し - 徹底的に参考文献を明記しながら説明を進め、ニュアンスを伝えるためとはいえ私見が強い部分ではその旨を明示 - このせいで脚注がうるさくなっていますが、気になる方はepub版だと脚注が全部後ろに行ってるので安心です また、メッセージのやりとりなど、文章だけではわかりにくい部分には適宜図を入れ(特にTLS編2,3章とTCP編6章)、インターネットとすこし仲良くなれる仕上がりになったのでは、と自負しております。 商業誌に比べると、図が手書きだったり製版に未熟な点もございますが、その辺りはご愛嬌ということで。。